データ公表にあたって
今回、共同経営推進室が設置されてから2回目のデータ公表となります。
昨年11月の1回目のデータ公表時に公開した内容に、令和2年度(2020年度)のデータを追加しております。
路線バス事業においては、引き続き利用者の減少や運転士の不足が深刻化し、バスサービスの廃止や縮小を余儀なくされている状況が続いています。
さらには、新型コロナウイルス感染拡大の影響を2年近く受け、ますます厳しい経営状況が続いております。
このような中、我々熊本県内の路線バス事業者5社は、
・一人でも多くの県民の皆様に路線バスをご利用いただくため
・日常生活を支える移動手段としてバスサービスを維持・拡充していくため
共同経営推進室を設置して会社の垣根を超えた様々な取り組みをはじめたところであります。
今回のデータ公表を機に、バス事業へのご理解ご協力を賜り、より多くの方がバスをはじめとする公共交通をご利用いただくことに繋がれば幸いです。
様々なデータを沿線自治体をはじめとする関係者の皆様と十分に共有しながら、地域のまちづくりに貢献していきたいと考えております。
また、熊本県内の路線バス5社は新型コロナ感染症対策を徹底しておりますので、ご利用のお客様におかれましては安心してご利用いただければ幸いです。
令和3年10月25日
共同経営推進室長(熊本都市バス株式会社 社長)
高田 晋
輸送人員・実車走行キロの推移(5社合計)
路線バスの輸送人員は年々減少し、この5年間で約36%減少。実車走行キロは5年間で約22%減少。特に2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、輸送人員が対前年比で約28%減少となった。
年度 | 2015年度(H27) | 2016年度(H28) | 2017年度(H29) | 2018年度(H30) | 2019年度(R1) | 2020年度(R2) |
---|---|---|---|---|---|---|
輸送人員(万人) | 2,997 | 2,666 | 2,746 | 2,705 | 2,674 | 1,922 |
実車走行キロ(万km) | 3,249 | 2,962 | 2,905 | 2,824 | 2,674 | 2,531 |
運転士の推移(5社合計)
要素別原価報告書を基準としているため厳密には乗合バスの運行に携わった人数
全国的に自動車運転の職業(※1)に関する人手不足が深刻化しており、乗合バスの運転士の確保においても課題が生じている。特に、熊本の場合は、熊本地震の影響で運転士不足が深刻化しており、今後さらに運転士が減少することが見込まれる。
2020年度は状況が改善したように見えるが、これは新型コロナウイルスの影響で稼働が減少した貸切バス、都市間高速バスの運転士が路線バスの運転業務に従事したことによるものであり、定員数916名に対し35名不足(2021年3月末時点)するなど運転士不足の状況は続いている。
2020年度は状況が改善したように見えるが、これは新型コロナウイルスの影響で稼働が減少した貸切バス、都市間高速バスの運転士が路線バスの運転業務に従事したことによるものであり、定員数916名に対し35名不足(2021年3月末時点)するなど運転士不足の状況は続いている。
※1 路線バス、貸切バス、トラック等運転の職業 職業分類表より(厚生労働省)
年度 | 2015年度(H27) | 2016年度(H28) | 2017年度(H29) | 2018年度(H30) | 2019年度(R1) | 2020年度(R2) |
---|---|---|---|---|---|---|
運転士数(人) | 984 | 984 | 903 | 890 | 873 | 922 |
路線バス事業の経常収支の推移(5社合計)
2020年度は新型コロナウイルスの影響による輸送人員減少に伴い、路線バスの運送収入は2019年度比で約25%減少している。一方、緊急事態宣言下でも生活の足として、公共交通サービスを提供する必要があったため、費用はほぼ横ばいである。したがって、各社の経常収支はさらに厳しい状態となった。
年度 | 2015年度(H27) | 2016年度(H28) | 2017年度(H29) | 2018年度(H30) | 2019年度(R1) | 2020年度(R2) |
---|---|---|---|---|---|---|
収入(億円) | 63 | 55 | 59 | 57 | 57 | 43 |
費用(億円) | 91 | 90 | 90 | 91 | 90 | 87 |
収支(億円) | ▲28 | ▲35 | ▲31 | ▲34 | ▲33 | ▲44 |
路線バス事業に対する行政支援額の推移(5社合計)
バス事業者の経常収支の悪化により、行政支援額(※)は増加している。
※ 国、県、市町村からのバス運行に関する補助金。2020年度は新型コロナによる減収分に対する臨時的な支援金の交付あり。
年度 | 2015年度(H27) | 2016年度(H28) | 2017年度(H29) | 2018年度(H30) | 2019年度(R1) | 2020年度(R2) |
---|---|---|---|---|---|---|
行政支援額(億円) | 27.1 | 28.0 | 28.4 | 29.1 | 30.3 | 35.9 |
5社合計値の一覧表
内容 | 2015年度(H27) | 2016年度(H28) | 2017年度(H29) | 2018年度(H30) | 2019年度(R1) | 2020年度(R2) |
---|---|---|---|---|---|---|
輸送人員(単位:千人) | 29,974 | 26,656 | 27,460 | 27,050 | 26,737 | 19,225 |
実車走行キロ(単位:千キロ) | 32,492 | 29,617 | 29,048 | 28,235 | 26,742 | 25,313 |
系統数(単位:系統) | 600 | 592 | 573 | 531 | 518 | 513 |
運転士数(単位:人) | 984 | 984 | 903 | 890 | 873 | 922 |
車両数(単位:両) | 895 | 883 | 880 | 848 | 826 | 792 |
経常収入(単位:百万円) | 6,302 | 5,530 | 5,923 | 5,688 | 5,719 | 4,318 |
経常費用(単位:百万円) | 9,057 | 8,995 | 9,019 | 9,095 | 8,955 | 8,682 |
経常収支(単位:百万円) | ▲2,755 | ▲3,464 | ▲3,096 | ▲3,407 | ▲3,236 | ▲4,364 |
行政支援額(単位:百万円) | 2,713 | 2,797 | 2,844 | 2,914 | 3,032 | 3,592 |